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税務署に目をつけられやすい個人事業主の特徴
「いつ税務調査がくるのだろうか」と不安に思う個人事業主も少なくありません。
長く活動を続けていればいつか実地調査の機会がやってくることもあるでしょうし、特定の特徴がある場合にはその可能性も高くなると考えられます。
明確な判断基準が公表されているわけではありませんが、ここで取り上げる特徴に該当する方は要注意です。
特徴1.無申告または申告内容に不審点がある
事業活動を行っているにもかかわらず確定申告を行っていない「無申告」の事業主は要注意です。
事業収入があるにもかかわらず申告をしない行為は、意図的な脱税行為と評価されるリスクがあります。
また、申告はしているものの、内容に不審点がある場合も要注意です。
たとえば前年と比較して売上や所得が大幅に減少している、業種の特性と合わない経費計上がある、毎年赤字申告が続いているなどの場合、税務署から注目されやすくなるでしょう。
売上がほぼ0円の場合は申告を行う必要がありませんが、そうでないならまず確定申告の期限を守り、期日までに申告を行うようにしてください。
そして正確な内容で申告をするため、日頃から適切な帳簿管理を行い、不明点があれば税理士に相談することをおすすめします。
特徴2.売上高が急激に伸びている
売上高が急激に伸びていると税務署の注目を集めやすい傾向にあります。これには以下の理由が関係していると考えられます。
- 売上の急増により経理処理が追いつかず申告ミスが発生する可能性が高まるため
- 事業拡大に伴い新たな取引形態や収入源が生まれている可能性があるため
売上高のみならず、伸び率が著しく高い場合も、その理由について関心が持たれます。
なお、売上高の急増、極端に高い伸び率それ自体は何も悪いことではなくむしろ事業にとっては喜ばしいことです。
しかし税務調査のリスクを考慮すれば、売上が急増した理由を説明できる資料を整理しておくことが重要といえるでしょう。
そして適切な経理体制を整えることも欠かせません。
売上規模が大きくなったタイミングで税理士に記帳や申告の代行依頼を検討しましょう。
特徴3.売上と所得のバランスが不自然
売上高の大きさのみならず、売上と所得のバランスにも注目してください。
売上高に対する所得の割合が、その業種における相場より極端に小さいときは何かしらの不正を疑われる可能性もあります。
特に疑いを招きやすいのは、「毎年計画したかのように同じ所得金額になっている」ケースです。
実際の事業活動は経済状況や取引環境によって売上や利益に変動が生じるのが自然ですが、年間所得が一定の額に収まるパターンが続くと、意図的に数字を調整しているのではないかと疑われてもおかしくはありません。
また、「売上が大きいにもかかわらず所得がわずか」という状況も、税務署の注目を集める可能性があります。
「100万円の所得でどうやって生活しているのか」などと勘繰られても仕方ありません。
特徴4.業種平均と比べて経費が大きい
業種平均と比べたときの経費の割合の高さも要チェックです。
たとえばその業種における一般的な経費の割合が50%であるにもかかわらず、「年間売上2,000万円超に対して所得が100万円しかない(経費の割合が95%以上)」という場合には本当に適法な経理処理が行われているのだろうかと疑いをかけられやすくなります。
特に注意が必要な経費項目としては以下が挙げられます。
- 接待交際費・・・業種によって適正水準が異なるが、売上高に対して極端に高い場合は私的な飲食費との区別が曖昧ではないかと疑われやすい。
- 旅費交通費・・・頻繁な海外出張や高額な交通費は、事業との関連性について疑問視される可能性がある。
- 家賃・地代・・・事務所兼自宅の場合、どの程度の割合を事業用として計上しているかが重要。
- 減価償却費・・・高額な資産購入について、それが事業に必要なものなのか、と疑問視される可能性がある。
対策として、すべての経費について「事業との関連性」を説明できる証拠資料を保管しておくことが重要です。
経費計上に不安がある場合は税理士に相談し、適正な範囲での経費計上を心がけましょう。
特徴5.経費のうち雑費の割合が高い
雑費は具体的な費目に分類できない経費をまとめる項目ですが、この割合が全経費のうち大半を占めているようなケースでは、私的な支出を経費として含めていないか、などとさまざまな疑いをかけられるおそれがあります。
特に「雑費の金額が年々増加している」「雑費の中に高額な支出が含まれている」「雑費の内訳を説明できる資料が整理されていない」場合は要注意です。
特徴6.新しい市場で事業を営んでいる
新興産業、あるいは海外取引の割合が高い個人事業主も税務署から注目を集めやすい傾向にあります。これにはいくつかの理由が考えられます。
その一つに「新しい市場や革新的なビジネスモデルでは税務上の取り扱いが確立されていないから」という理由が挙げられます。
従来の税制が想定していなかった取引形態だとどのように税務処理すればいいのかわからないケースもあり、間違いが起こりやすいですし調査対象となりやすくなります。
また、海外取引に関しても複雑な要素が加わるため、計算や税制上の判断が難しいケースがあり、取引が適切に申告されているかを確認するため調査対象となる可能性が考えられます。
特徴7.現金取引が多い業種
飲食業、小売業、タクシー業など一般に現金取引の傾向が強い業種も税務署から注目されやすい傾向にあります。
現金取引は記録が残りにくく、売上の一部を容易に隠せてしまうためです。
また、「現金なら隠してもバレないだろう」と考える方もいますが、取引先や顧客に対する調査を通して申告されている売上と実際の取引金額を照合すれば、売上を隠したことも発覚してしまいます。
特徴8.税理士が申告書を作成していない
確定申告書には税理士による署名欄があり、ここに記載があると税理士が作成したということがわかるため一定程度正確性が担保されます。
反対に税理士が作成していない場合はその事実が署名欄から読み取ることができますので、申告内容に誤りが含まれているかもしれないと疑われる可能性も高くなります。
なお、税理士費用は経費として計上できますし、適切な節税対策や経営アドバイスを受けることで、長期的にはコスト以上のメリットが得られるケースも多いです。
特に税務調査のリスクが気になる場合は、税理士への依頼を前向きに検討するとよいでしょう。
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