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税務署はどこまで調べるの?知っておくべき調査範囲を解説

税務調査では、申告内容の正確性を検証するために、さまざまな資料やデータがチェックされます。
それも数年前にまで遡って調査が行われますので、事業者の方は法定の義務に従い各種帳簿や契約書、領収書などの保管をペーパーあるいはPDFなどのデータでしておかないといけません。

具体的にはどこまでが税務調査の対象となるのでしょうか。
当記事では税務調査における調査範囲について解説していきますので、一度目を通していただければと思います。

過去何年分が調査されるのか

税務署は申告内容を裏付ける帳簿書類や領収書などを確認しますが、これまでの活動期間すべてを遡るわけではありません。
基本的には過去3年分、場合によってはもっと長い期間が調査対象となることもありますが、3年分は少なくとも見られるものと考えておくとよいでしょう。
※調査対象の期間が長くなるのは主に不正行為が疑われる場合であり、重加算税対象の場合です。

脱税や所得隠しなどの不正行為が疑われる場合は、不正の開始など過去の申告内容や取引状況などを詳しく調べて、不正の有無を検証する可能性も高くなります。
重加算税対象ですと、7年分遡ります。
以前は5年分遡ることもありましたが、今は7年が基本です。

調査対象となるものの範囲

税務調査によるチェックの範囲は次に掲げるものに及び、これらから多種多様な情報が収集されます。

  • 帳簿や証憑
    (今は、総勘定元帳もデータですので、データ同士の照合は容易です。)
  • PC、サーバー、スマホ上のデータ
    (不正の証拠は、スマホとPCに70%以上があります。)
  • 口座情報
    (税務署は資料などから、事業用の口座を把握しています。
     個人口座や親族名義の口座までは、把握していないことはありますが。)
    (今後は、AIによる調査です。そのために利用者識別番号とインボイス番号が導入されています。
     人間がチェックするより、AIは10倍の学習能力で年々進歩していきます。)
  • 現場での実態
    (ターゲットにした事案で、現金商売なら店舗の外観、内観を事前に見に行きます。
     立地条件、客の入り、売値、休祭日の状況などを確認するためです。)

各対象の詳細をみていきましょう。

帳簿や証憑

各種帳簿、証憑のチェックは税務調査の基礎となる部分です。
具体的には以下のものが調べられます。

  • 会計帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、補助元帳など)
    (必ずしも損益科目を見る訳ではありません。不正は貸借科目に現れてきます。
     ・今期、利益が出そうだ。
     ・税理士:他に経費とかありませんか?
     ・納税者:外注費があります。請求書をもらっています。
          (架空の請求書を作成)
     ・税理士:決済はどうしたのですか。
     ・納税者:翌期に現金で支払いました。

    【当期】
       外注費/未払費用    3,000,000円
    【翌期】
       現金勘定にそれだけの残高がない。
       現金/代表者借入金 3,000,000円
     すると、貸借科目の代表者借入金が増加します。
     この、増加を見ます。
     また、当期の申告書の科目内訳に
      未払費用 〇〇㈱ 東京都新宿区×× 3,000,000円
     が記載されていると、この法人は実在するのか、申告しているのかを、あらかじめ調べます。)
  • 請求書
    (架空で作成した請求書は、いつ、誰が作成したのか。
     どうやって送付されてきたのか。どのように決済したのかを調査で調べます。
     作成したデータが見つかれば、プロパティから日付を遡及して作成したことが判明します。)
  • 領収書
  • 契約書 など

これらの書類は、正確な会計処理が行われているか、申告内容と一致しているかを確認するために必要となります。

PC・サーバー上のデータ

企業でのデジタル化も進んでいますので、パソコンやサーバーに保存されたデータも重要な調査対象となっています。
そこで次に挙げるものもチェックされる可能性があります。

  • 経理・財務関連のファイル(会計ソフトのデータや取引に関わる重要なPDFファイルなど)
  • メール・LINEのやり取り(取引先との記録や社内での指示内容など)
  • データの作成時期や更新時期(データの改ざんが行われていないかを確認) など

オンラインストレージに保存されたデータも調査対象となる可能性があります。

口座情報

会社の通帳、場合によっては役員個人の通帳も税務調査において調べられる可能性があります。
ここで特に見られるのは次のような事項です。

  • 入出金の状況:売上や経費の計上漏れがないか、不正な取引が行われていないか。
    (現金商売での現金売上が正しく計上されているか。現金売上は除外しやすいので。)
    (外注費や支払手数料で現金支払はないか。通常は現金では決済しないので。)
  • 必要経費かどうか:私的な支出を経費として計上していないか。

税務署は多くの場合、まず納税者から提出された資料を確認し、必要に応じて追加の調査を行います。
しかし場合によっては金融機関から取引履歴を取り寄せ、申告内容と照らし合わせるなど詳細な検証も行います。

現場での実態

必要に応じて、事業所や店舗、工場などの現場に調査官が訪問して実態調査を行うこともあり、具体的な状況が確認されます。
例えば次のような点をチェックします。

  • 設備・機械の稼働状況から減価償却費の妥当性を確認
    (現物があり確認できるので調査しやすいので。)
  • 製品の製造状況から在庫状況などを確認
    (期末在庫の調整の不正は簡単でやりやすい。でも翌期に影響。)
  • 従業員の勤務状況から人件費の妥当性などを確認
    (架空人件費の計上はやりやすいが、通常は源泉や社会保険料まで計算して納付していないので、架空と思われるものは見つけやすい。)

現場調査は、小売業や製造業、飲食業などで比較的多く行われ、現場での観察だけでなく従業員へのヒアリングが行われるケースもあります。
(経営者は、従業員の不正をチェックする体制を作っているので、流れと作成書類・データを照合すれば、どこまでが正しいのかわかる。)

調査で注目されるポイント

申告内容が適正かどうかをさまざまな観点からチェックされますが、その中でも注目されるポイントが「売上の計上漏れ」や「不適切な経費計上」の2つです。

売上の計上漏れの可能性

「売上の計上漏れ」は税務調査で重点的に調査される項目の1つです。
意図的な売上隠しはもちろんのこと、単純なミスや認識不足による計上漏れであっても、見つかると追及を受けます。
特に現金商売の場合だと取引の記録が残りにくいため売上計上漏れが発生しやすい傾向にあります。
そのためレジの記録や日計表などをきちんと保管し、日々の売上を正確に把握するよう努めましょう。
また、売上の計上時期を意図的に遅らせて納税額を少なくしようとする行為なども指摘を受ける可能性がありますので注意してください。

不適切な経費計上の可能性

架空の経費を計上したり、業務に関係のない経費を計上したりする行為は、加算税などのペナルティの対象となる可能性があります。
特に、実際には存在しない経費を計上して利益を圧縮するなど、悪質な脱税行為と評価されるとペナルティを受けるリスクが高くなりますのでご注意ください。

また、役員などであってもプライベートでの支出を経費として計上してはいけません。
飲食代を経費として計上するときは接待交際費としての要件を満たしているかどうか、旅費交通費についても私的な要素を多分に含んでいないか、そして各金額が妥当な範囲ないかどうかなども普段から気を付けておきましょう。
金額に関しては役員報酬の額、家族従業員に対する給与にも要注意です。
会社の業績や実際の職務内容に見合っているか、などがチェックされます。
調査時の質問に対する受け答え、準備のことなどに不安がある方は税理士を頼りましょう。
また、日常的な経理業務、税務申告への対応から税理士に依頼しておくとミスも防ぎやすく税務調査で指摘を受けるリスクも低くなります。

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