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税務調査で指摘を受けた場合のペナルティや事業活動への影響

税務調査がきっかけで申告ミスなどが発覚し、ペナルティを課されることがあります。
税制上、過少申告加算税や無申告加算税、延滞税などの負担が生じますし、さらには、正しく税金を納めていなかったという事実が知られることで社会的信用が低下するなど種々の問題も生じます。
これらのリスクについて、ここで見ていきましょう。

税制上のペナルティ

税制上予定されているペナルティには次のものがあります。

  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 重加算税
  • 延滞税
  • 不納付加算税

それぞれのペナルティについて説明します。

過少申告加算税について

「過少申告加算税」は、確定申告による納税額が本来の税額よりも少なかった場合に課せられるペナルティです。
状況に応じ、次のように税率が適用され、本来の納付額より大きな税負担が発生する仕組みになっています。

課税パターン税率適用条件
基本の税率10%新たに納めることになった税額(増差税額)全体に適用。
加重税率15%増差税額のうち、「期限内申告税額」と「50万円」、いずれか多い金額を超える部分に適用。
自主的修正申告(調査前)0%税務署の調査通知前に自主的に修正申告した場合。
調査通知後、更正・決定予知前に修正申告が行われた5%50万円以下の部分に適用。
10%50万円を超える部分に適用。

また、加重措置として以下の場合には追加のペナルティが発生します。

  • 税務調査で帳簿の提示・提出を求められたが応じなかった場合
     または帳簿への売上金額の記載が本来記載すべき金額の2/3未満だった場合
     ・・・納付すべき税額の5%が追加。
  • 帳簿への売上金額の記載が本来記載すべき金額の1/2未満だった場合
     ・・・納付すべき税額の10%が追加。

以上から、「過少申告加算税は基本的に10%の税率であるが、申告ミスの程度が大きな場合には15%に引き上げられる」ということができるでしょう。
また、自主的な修正申告を早めに行えばペナルティを回避することも可能です。
そのため誤りに気づいたら、できるだけ早く修正申告をすることが重要です。

無申告加算税について

「無申告加算税」は、法定申告期限までに確定申告書を提出しなかった場合に課される加算税です。
納税者に申告義務の履行を促し、適正な申告の確保を目的としています。

無申告加算税の税率は、以下のように段階的に設定されています。

課税パターン税率
基本の税率15%
50万円超の部分20%
300万円超の部分30%

ただし、期限内申告書の提出がされなかったことに関して正当な理由があるのならペナルティは課されません。
また、「期限後申告書の提出または決定があった日の前日から5年前までの間に、無申告加算税(期限後申告書の提出又は決定があった部分に限る)または重加算税を課されたことがない場合」または「調査通知前の期限後申告等の場合」であって、50万円以下の部分については5%、50万円超300万円以下の部分については10%の税率が適用されます。

重加算税について

「重加算税」は、納税者が故意に税額を免れようとする行為(事実の隠ぺいや仮装に基づく申告など)を行った場合に課される加算税です。
通常の加算税よりも高い税率が適用され、悪質な脱税行為の抑制を目的としています。

区分税率
過少申告の場合35%
無申告の場合40%

なお、事実の「隠ぺい」や「仮装」とは、次のような行為を指します。

  • 架空名義の利用
  • 取引の一部または全部を帳簿に記載しない
  • 虚偽の証憑類の作成
  • 帳簿の破棄
  • 売上除外、架空仕入・架空経費の計上
  • 財産の隠匿 など

これらの行為が税務調査等で発覚した場合、重加算税の対象となります。
なお、重加算税は行政上の措置であり、刑事罰とは別個のものです。
そのため悪質な脱税行為であって別の法に抵触した結果、重加算税の賦課と別に刑事告発される可能性もあります。

延滞税について

「延滞税」は、所定の期限までに税金が納付されない場合に課される追加的な税金です。
これは納付期日翌日~納付日の日数に応じて計算されます。
延滞税の税率は以下のように設定されています。

期間税率
納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで年2.4% (令和4年1月1日から令和6年12月31日まで)
納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後年8.7% (令和4年1月1日から令和6年12月31日まで)

※原則は「年7.3%」と「年14.6%」であるが、特例により上表の割合が適用される。
なお、延滞税は本税のみを対象としていますので、加算税などに課されてさらに負担が増大するということはありません。

不納付加算税について

「不納付加算税」は、源泉徴収による国税を法定の期限までに納付しなかったときに課される加算税です。
この制度は、源泉徴収義務者に対して適正な納付を促すことを目的としています。
不納付加算税の税率は以下の通りです。

状況税率
基本税率10%
自主的に納付した場合5%

源泉所得税は、原則として給与支給日の翌月10日までに納付する必要がありますのでご注意ください。
※従業員数が10人未満の小規模事業所では、半年分をまとめて納付できる特例がある。

ただし、納付期限から1ヶ月を経過する日までに納付し、かつ過去1年以内に法定納期限内に源泉所得税を納付している場合であれば、不納付加算税の負担は生じません。

事業活動に対する影響

税務調査に関しては、上記のペナルティのほか、下記の事業活動への影響も心配する必要があります。

信用面への影響取引先との関係性の悪化(取引条件の悪化、取引停止など)や、金融機関との関係性の悪化(融資条件の見直し、新規融資が困難になるなど)。また、社会的評価の低下(特に上場企業の場合は株価下落など)など。
財務面への影響追徴税額の支払いによるキャッシュフローへの悪影響。
業務面への影響税務調査対応や修正作業による時間と労力の消費。
法的リスク悪質な場合の刑事告発リスクや、許認可取消等のリスク。
人事面への影響企業イメージ低下による従業員のモチベーション低下や、人材採用に対する支障が生じる。

これらの影響は、事業の規模や業種、指摘の内容によって異なります。
税務調査で指摘を受けることは追徴税の支払いにとどまらず、事業活動全体に広範な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、日頃から適切な税務申告を行うことを心掛け、税務リスクを最小限に抑えることが重要です。

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